特定福祉用具購入について

〜必要な道具を、安心して手元に〜

介護が始まると、「お風呂に入るのが不安」「トイレが使いづらい」など、日常生活の中で困りごとが出てきます。そんなとき、役立つのが「特定福祉用具購入制度」です。

これは、介護保険を使って、必要な福祉用具を購入できる仕組み。レンタルではなく、衛生面や個人使用の観点から“購入”が望ましいとされる用具が対象です。

購入できる福祉用具とは?

介護保険で購入できる「特定福祉用具」は、以下の5種類に限られています。

  1. 腰掛便座
    ポータブルトイレや、洋式便座に置くタイプの補助便座など。
    和式トイレが使いづらい方や、寝室で排泄をしたい方に。
  2. 入浴補助用具
    浴槽内のイス、浴槽への出入りを助ける手すり、すべり止めマットなど。
    安全に入浴できるようサポートします。
  3. 簡易浴槽
    居室などで入浴できるよう設計された、持ち運び可能な浴槽。
    浴室までの移動が難しい方に。
  4. 移動用リフトのつり具部分
    リフト本体はレンタル対象ですが、身体に直接触れる「つり具」は購入対象です。
    個人に合わせたサイズや形状が必要なためです。
  5. 排泄予測支援機器

センサーで排泄のタイミングを予測し、介助のタイミングを知らせる機器。
排泄ケアの負担軽減と自立支援につながります。

購入の流れと注意点

購入には、事前の申請が必要です。
「先に買って、あとで申請」では介護保険が使えませんのでご注意ください。

基本的な流れは以下の通りです:

  1. ケアマネジャーに相談
  2. 必要性を確認し、サービス計画に位置づけ
  3. 市区町村へ申請
  4. 購入・領収書提出
  5. 保険給付(原則1割〜3割負担)

年間の上限額は10万円(自己負担を除く)で、複数回に分けて利用することも可能です。

よくあるご質問

  1. どこで買えばいいの?
    → 指定事業者(福祉用具販売事業所)から購入する必要があります。一般の通販サイトなどは対象外です。
  2. 申請は難しい?
    → ケアマネジャーがサポートしますのでご安心ください。事業所でも書類作成のお手伝いをしています。
  3. すぐに使いたいけど、申請が間に合わない…
    → 緊急の場合は、事後申請が認められるケースもあります。まずはご相談ください。

現場からのひとこと

「トイレに行けるようになった」
「お風呂に入れるようになった」
そんな一歩が、ご本人の自信につながります。

特定福祉用具は、生活の質を高めるだけでなく、介護するご家族の負担も軽減してくれる大切な道具です。選び方や申請方法に迷ったときは、どうぞ遠慮なくご相談ください。

おわりに

介護保険には、「借りる」だけでなく「買う」ことで支えられる仕組みもあります。
特定福祉用具購入制度を上手に活用することで、より安心で快適な暮らしが実現できます。

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