福祉用具と防災について

〜災害時にも、安心と尊厳を守るために〜

 

地震や台風など、いつ起こるかわからない災害。
私たちが日々支えている高齢者や障がいのある方にとって、災害時の避難や生活は、さらに多くの困難を伴います。

そんなとき、福祉用具は「命を守る道具」にもなり得ます。
今回は、福祉用具と防災の関係について、事前にできる備えと心構えをお伝えします。

災害時に福祉用具が果たす役割

福祉用具は、日常生活を支えるだけでなく、災害時にも以下のような役割を果たします。

  • 移動の支援:歩行器や車いすがあることで、避難所までの移動が可能になります
  • 排泄の確保:ポータブルトイレがあれば、トイレの混雑や遠さに悩まずに済みます
  • 安眠の確保:エアマットや簡易ベッドがあることで、床での寝起きによる褥瘡や腰痛を防げます
  • 自立の維持:「自分でできる」道具があることで、避難生活の中でも尊厳を守ることができます

備えておきたいこと

災害時に福祉用具を活用するためには、事前の準備が欠かせません。以下のような点を確認しておきましょう。

  持ち出し可能な用具の確認
→ 折りたたみ式の歩行器や軽量のポータブルトイレなど、避難時に持ち運べるものを選ぶ工夫が必要です。

  1. 電源が不要な代替品の準備
    → 電動ベッドや感知機器など、停電時に使えなくなるものは、手動で代用できるものを検討しましょう。
  2. 避難所での使用可否の確認
    → 地域の避難所に、車いすやポータブルトイレの使用が可能かどうか、事前に確認しておくと安心です。
  3. 非常用持ち出し袋に入れておくもの
    → 介護用手袋、尿取りパッド、簡易便座、滑り止めマットなど、最低限の福祉用品を備えておきましょう。

 

「避難所にポータブルトイレを持ち込んだことで、夜間の不安が減った」
「歩行器があったから、混雑した中でも安全に移動できた」
そんな声を、災害支援の現場でも耳にします。

福祉用具は、災害時にも「その人らしさ」を守る道具です。
だからこそ、日頃から「使えるか」「持ち出せるか」「代替できるか」を考えておくことが大切です。

災害は、いつ起こるかわかりません。
でも、備えることは、今すぐにできます。

 

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